ブログ

契約書に「暴排条項」が必要な理由と書き方|反社会的勢力との取引リスクを防ぐ

■はじめに

「取引先が反社会的勢力だったとしたら、どうなるのか」――そう考えたことはありませんか?

普段のビジネスでは、相手が反社会的勢力かどうかを気にする機会は少ないかもしれません。しかし、万が一そのような相手と契約を結んでしまった場合、企業や個人事業主にとって深刻なリスクが生じます。

こうしたリスクを防ぐために契約書に盛り込むのが「暴排条項(暴力団等排除条項)」です。契約書に暴排条項を入れることは、現在では多くの業種で標準的な実務慣行になっています。

この記事では、暴排条項とは何か・なぜ必要か、どのように書けばよいかを、具体的な文例とともにわかりやすく解説します。

■暴排条項とは何か

暴排条項の定義

暴排条項とは、契約書の中に設ける条項のひとつで、「契約の当事者が反社会的勢力(暴力団・暴力団関係者・総会屋など)でないこと」を確認し、もし違反した場合には契約を解除できると定めるものです。

正式には「反社会的勢力排除条項」とも呼ばれます。

暴力団排除条例との関係

暴排条項が広まった背景には、全国各都道府県で制定された「暴力団排除条例」があります。

2010年に島根県・岐阜県が全国初の暴力団排除条例を施行し、2011年10月には東京都・沖縄県を含む全都道府県で条例が出そろいました。

これらの条例では、事業者が暴力団と不当な利益供与を行うことを禁止し、条例に違反した場合には行政からの指導・公表といった措置が取られることになっています。

条例の施行により、金融機関・大企業を中心に契約書への暴排条項の導入が急速に進みました。現在では、行政機関との契約・金融機関との取引・大手企業との取引において、暴排条項の有無がチェックされるケースも増えています。

■なぜ契約書に暴排条項が必要なのか

反社会的勢力との取引が引き起こすリスク

反社会的勢力との取引には、次のようなリスクがあります。

  • 経済的損失:不当な要求・恐喝・詐欺的行為により財産的被害を受ける
  • レピュテーションリスク:反社との取引が発覚した場合、企業イメージが大きく傷つく
  • 取引停止リスク:金融機関・大手取引先から取引停止や口座凍結を求められる
  • 法的リスク:暴力団排除条例違反となり、行政指導や公表の対象となる
  • 業務継続リスク:不当な介入により通常業務が妨害される

「知らなかった」では済まない場合がある

反社会的勢力は、一般の企業や個人に見えるよう偽装して接触してくることがあります。見た目では判断が難しいケースも多く、「取引してみて初めて気づいた」という事例も少なくありません。

契約書に暴排条項が入っていれば、問題が発覚した時点で直ちに契約を解除できます。一方、暴排条項がない場合は、契約解除に法的根拠を持たせることが難しくなります。

■暴排条項の標準的な内容

暴排条項には、一般的に以下の3つの要素が含まれます。

1. 表明保証条項

契約を締結する時点で、相手方が反社会的勢力でないこと・反社会的勢力との関係がないことを「表明し、保証する」条項です。

具体的には、次の内容を保証させます。

  • 暴力団・暴力団員・暴力団関係者・総会屋・社会運動等標ぼうゴロ・特殊知能暴力集団等(これらを総称して「反社会的勢力」とする)に該当しないこと
  • 反社会的勢力が経営に実質的に関与していないこと
  • 反社会的勢力に対して資金提供・便宜供与等をしていないこと
  • 反社会的勢力と社会的に非難されるような関係を有していないこと

2. 不当要求行為の禁止

相手方が、自ら・または第三者を利用して、次のような行為をしないことを約束させます。

  • 暴力的な要求行為
  • 法的な責任を超えた不当な要求行為
  • 脅迫的な言動または暴力の使用
  • 風説の流布・偽計・威力による業務妨害
  • その他上記に準じる行為

3. 解除権・損害賠償条項

相手方が上記の表明保証に違反した場合、または不当要求行為をおこなった場合に、催告なし(相手への事前通知なし)で契約を解除できると定めます。

また、解除によって生じた損害は相手方が賠償することも明記します。

■書き方の文例

以下は暴排条項の標準的な文例です。実際の契約では、取引の内容や相手方の属性に応じて内容を調整することがあります。

(反社会的勢力の排除)

第〇条 甲および乙は、現在および将来にわたり、次の各号のいずれにも該当しないことを表明し、保証する。

(1)暴力団、暴力団員、暴力団員でなくなった時から5年を経過しない者、暴力団準構成員、暴力団関係企業、総会屋等、社会運動等標ぼうゴロまたは特殊知能暴力集団等、その他これらに準じる者(以下「反社会的勢力」という)に該当すること

(2)反社会的勢力が経営を支配していると認められる関係を有すること

(3)反社会的勢力が経営に実質的に関与していると認められる関係を有すること

(4)自己もしくは第三者の不正の利益を図る目的または第三者に損害を加える目的をもって、反社会的勢力を利用していると認められる関係を有すること

(5)反社会的勢力に対して資金等を提供し、または便宜を供与するなどの関与をしていると認められる関係を有すること

(6)役員または経営に実質的に関与している者が反社会的勢力と社会的に非難されるべき関係を有すること

2 甲および乙は、相手方に対し、自らまたは第三者を利用して次の各号の行為をしないことを確約する。

(1)暴力的な要求行為

(2)法的な責任を超えた不当な要求行為

(3)取引に関して、脅迫的な言動をし、または暴力を用いる行為

(4)風説を流布し、偽計を用いまたは威力を用いて相手方の信用を毀損し、または相手方の業務を妨害する行為

(5)その他前各号に準ずる行為

3 甲または乙が前各項の規定に違反した場合には、相手方は何らの催告を要せず、直ちに本契約を解除することができる。

4 前項の規定により本契約を解除した場合、解除した当事者は、相手方に生じた損害を賠償する義務を負わないものとし、解除された当事者は、解除によって生じた損害について相手方に請求することができない。

この文例は、多くの契約書で用いられる標準的な構成に基づいています。ただし、業種・取引の性質・相手方によって適切な内容は異なるため、実際の契約書作成においては個別の事情に応じた検討が必要です。

■違反時の対応

即時解除が可能

暴排条項に「催告なく解除できる」と定めることで、相手方に対して事前通知をせずに直ちに契約を解除できます。

民法上、契約解除には原則として相手方への催告(「○日以内に是正してください」という通知)が必要ですが(民法541条)、催告なし解除の条項を設けることで、このステップを省略できます。

反社会的勢力との関係が判明した場合、速やかに関係を断ち切ることが重要であるため、即時解除の条項は実務上、非常に重要な意味を持ちます。

損害賠償の取り扱い

暴排条項に違反した側は、解除によって生じた損害を賠償する義務を負います。一方、解除した側は損害賠償義務を負わないと定めるのが一般的です。

これにより、「契約を解除したことによる損害賠償を逆に請求される」というリスクを防ぐことができます。

取引先への反社チェックの重要性

暴排条項を設けるだけでなく、契約前に相手方が反社会的勢力でないかを確認する「反社チェック」をあわせて実施することが重要です。

一般的な反社チェックの方法としては、次のものがあります。

  • インターネットや新聞記事での情報収集
  • 専門の反社チェックサービスの利用
  • 反社会的勢力に関する情報データベースの参照

反社チェックと暴排条項の双方を組み合わせることで、取引前の予防と、問題発覚後の対応の両面でリスク管理ができます。

■まとめ

この記事のポイントをまとめます。

  • 暴排条項とは、反社会的勢力との取引を排除するために契約書に盛り込む条項のこと
  • 全都道府県の暴力団排除条例を背景に、多くの業種・企業で標準的な実務慣行になっている
  • 暴排条項には表明保証・不当要求の禁止・解除権と損害賠償の3つの要素が含まれるのが一般的
  • 催告なしの即時解除条項を入れることで、問題発覚時に迅速に関係を断ち切ることができる
  • 暴排条項は、契約前の反社チェックとあわせて運用することで効果を発揮する
  • 業種・取引内容によって適切な文言は異なるため、個別の事情に応じた内容の確認が重要

契約書のことで困ったら、気軽に相談してください

「これって自分で作れる?」「送られてきた契約書、このままサインして大丈夫?」そんな不安、一人で抱え込まないでください。

はじま行政書士事務所では、フリーランス・副業の方から中小企業まで、契約書の作成・レビューをお手伝いしています。

▼ 安心してご依頼いただくために

  • 秘密は守ります:行政書士法による守秘義務があります。ご相談内容が外部に漏れることはありません。
  • 条件は事前に明確にします:業務内容・報酬・支払条件はメール等で事前にご確認いただいてから開始します。
  • 前払い制です:入金確認後に業務を開始しますので、依頼後のトラブルを防げます。

土日祝日も対応しています。まずはお気軽にどうぞ。

👉 お問い合わせはこちら

PAGE TOP