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AIで契約書を作るリスクと注意点|専門家に依頼すべき理由をわかりやすく解説

はじめに

「ChatGPTに頼めば契約書が作れるって聞いたけど、本当に使えるの?」「AIで契約書をチェックしてもらったから大丈夫、と思っていいのかな?」と感じたことはありませんか?

近年、AIツールの急速な普及により、契約書の作成やチェックにAIを活用する場面が増えてきました。コストを抑えて手軽に使える点は魅力的ですが、そのまま実務に使うと思わぬリスクを抱えることになります。

この記事では、AIで契約書を作る・チェックする際の具体的なリスクと注意点を解説し、安心して取引を進めるために知っておくべきことをお伝えします。


AIによる契約書作成・チェックの現状

AIはどこまでできるのか

ChatGPTをはじめとした生成AIは、自然な日本語でテキストを生成する能力に長けており、契約書のひな型(テンプレート)を作成したり、各条項の意味を説明したりすることができます。実際、「業務委託契約書を作って」と指示すれば、それらしい文書をすぐに出力してくれます。

一方で、AIが出力するのはあくまでも「それらしい文章」です。法的に正確かどうか、その取引に本当に適した内容かどうかは、別問題です。AIはインターネット上の情報をもとに回答を生成しますが、その内容が最新の法律に対応しているか、実務上の慣行と合っているかを自分では判断できません。


AIで契約書を作るリスク

リスク① 法的に不完全な内容になりやすい

契約書には、取引の種類や内容によって盛り込むべき条項が異なります。たとえば、業務委託契約では著作権の帰属や再委託の可否(仕事をさらに別の業者に外注してよいかどうか)、秘密保持義務などを明記する必要がありますが、AIが生成したひな型にこれらが含まれていないケースは珍しくありません。

「それっぽい文章」が並んでいると安心してしまいがちですが、肝心な条項が抜けていると、トラブルが起きたときに契約書として機能しないことがあります。

リスク② 最新の法改正に対応していない可能性がある

AIが学習しているデータには時間的なズレがあり、最新の法改正が反映されていないことがあります。たとえば、2020年4月に施行された改正民法では、契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)の内容が大きく変わりました。古い表現のまま契約書を作成すると、現行法との間にズレが生じ、意図しない法的効果が生まれる可能性があります。

また、フリーランス・事業者間取引適正化等法(2024年11月施行)など、近年も取引に関わる法律の改正・施行が続いています。AIの学習データがこれらに対応しているかどうかは、ユーザー自身では確認が難しい点です。

リスク③ 取引の実態や業種に合わせたカスタマイズが難しい

AIが生成するひな型は、どんな取引にも使えそうな平均的な内容になりがちです。実際の取引では、業種・取引金額・当事者の関係性・業界の慣習などによって、必要な条項や表現が大きく異なります。

たとえば、IT業界の開発委託契約と、建設業の請負契約とでは、同じ「業務委託」でも求められる条項の内容はまったく異なります。AIにそこまでの文脈を読み取らせることは難しく、結果として実態に合わない契約書になるリスクがあります。

リスク④ 「AIがチェックしたから大丈夫」という過信が危険

AIを使った契約書レビューも広がっていますが、AIによるチェックはあくまでも表面的な文章の確認にとどまります。「この条項が自社にとって有利か不利か」「この表現では将来トラブルになりやすいか」といった実務的・戦略的な視点での判断は、AIには難しいのが現状です。

AIのチェックを受けたからといって、内容の正確性や自社への適合性が保証されるわけではありません。むしろ、「AIが問題ないと言った」という誤った安心感がリスクにつながることもあります。

リスク⑤ 責任の所在が不明確になる

AIが生成した契約書をそのまま使った結果、トラブルが生じた場合、誰が責任を負うのでしょうか。AIツールの利用規約には「出力内容の正確性を保証しない」と明記されていることがほとんどです。つまり、AIが作った契約書のミスによって損害が生じても、AIの開発会社に責任を問うことは現実的には困難です。最終的な責任はすべて、その契約書を使用した本人が負うことになります。


AIをうまく活用するための注意点

リスクがあるからといって、AIを一切使わないのが正解とは限りません。正しく使えば、業務の効率化に役立つ場面もあります。以下の点を意識して活用することが重要です。

あくまでも「たたき台」として使う

AIが生成した契約書は、ゼロから考えるときの出発点として活用するのが適切です。内容をそのまま使うのではなく、自分の取引内容に照らして必要な条項が漏れていないか、不適切な表現がないかを必ず確認します。

重要な取引ほど専門家によるチェックを受ける

取引金額が大きい、継続的な契約である、初めての取引先であるなど、リスクが高い案件ほど、専門家によるチェックや作成依頼が必要です。行政書士や弁護士は、取引の内容や業種に応じた適切な条項を判断し、法的に有効で実務に合った契約書を整えることができます。

AIの出力を「答え」ではなく「参考情報」として扱う

AIが「この条項は一般的です」と言っても、それがあなたの取引にとって最適かどうかは別問題です。AIの回答を鵜呑みにせず、専門家の意見や実際の法律と照らし合わせる姿勢が大切です。


まとめ

AIを使った契約書作成・チェックには、次のようなリスクがあります。

  • 法的に必要な条項が抜ける可能性がある
  • 最新の法改正に対応していない場合がある
  • 業種や取引の実態に合わない内容になりやすい
  • 「AIがチェックした=安全」という過信につながりやすい
  • トラブルが起きた場合の責任は利用者自身が負う

AIは便利なツールですが、契約書はビジネスの根幹を支える法的文書です。特に重要な取引や、継続して関わる契約については、専門家に相談することで余計なトラブルを防ぐことができます。

「AIで作った契約書、本当に大丈夫かな?」と少しでも不安を感じたら、ぜひ一度ご相談ください。


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