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売買契約書の基本|作成時に押さえておきたい必須記載事項と注意点を解説

■はじめに

「商品を販売することになったけど、契約書って必要なの?」「ネットで見つけたひな型をそのまま使っていいのかな…」と悩んだことはありませんか?

売買契約書は、物やサービスをお金と引き換えに取引するときに結ぶ契約書です。日常的な買い物では省略されることが多いですが、金額が大きい取引や継続的な取引では、きちんとした契約書を用意しておくことが非常に重要です。

今回は、売買契約書の基本的な内容と、作成するときに押さえておきたいポイントをわかりやすく解説します。


■売買契約とは

売買契約とは、売主が「ある財産権を相手に移転する」ことを約束し、買主が「その代金を支払う」ことを約束する契約です(民法第555条)。

対象となるものは幅広く、以下のようなものが含まれます。

  • 商品・製品などの物(動産)
  • 不動産(土地・建物)
  • 知的財産権などの権利

口頭でも売買契約は成立しますが、「いつ」「何を」「いくらで」売ったのかを後から証明するのが難しくなります。そのため、特にビジネス上の売買取引では、書面で内容を残しておくことが基本です。


■売買契約書と業務委託契約書の違い

混同されやすいのが、売買契約書と業務委託契約書の違いです。

売買契約書は「物・権利の所有権を移転する」ことを目的とした契約書です。商品を売る・買うという取引に使います。

業務委託契約書は「仕事・サービスの提供」を目的とした契約書です。作業を依頼する・引き受けるという取引に使います。

同じ取引でも、「何を対象としているか」によって使う契約書の種類が変わります。どちらの契約書が必要か迷ったときは、取引の内容を整理して判断することが大切です。


■売買契約書に盛り込むべき主な記載事項

1. 売買の目的物

何を売買するのかを具体的に記載します。商品名・型番・仕様・数量など、対象物を特定できる情報を明確にしましょう。「商品一式」などのあいまいな表現はトラブルの原因になります。

2. 代金と支払い方法

売買代金の金額(消費税の扱いも含めて)と、支払い方法・支払い期日を定めます。分割払いや後払いの場合は、各回の支払日と金額もあわせて記載します。

3. 引渡しの時期・場所・方法

いつ・どこで・どのように商品を引き渡すかを記載します。配送の場合は送料の負担や配送方法も明記しておくと安心です。引渡し時点で所有権が移転するのが原則ですが、代金完済まで所有権を売主に留保する「所有権留保」の特約を設けることもあります。

4. 所有権の移転時期

日本の民法(第176条)では、所有権は原則として「売買契約が成立した時点(双方の意思表示が合致した時点)」に移転します。ただし実務上は、「商品の引渡し時」や「代金の全額支払い完了時」に移転する旨の特約を契約書に設けることがほとんどです。

特に分割払いや後払いを伴う取引では、代金が完済されるまで所有権を売主に留保する「所有権留保」の特約を設けることで、未払いリスクに備えることができます。いつ所有権が移転するかを契約書に明記しておくことが重要です。

5. 危険負担

商品が引渡し前に滅失・損傷した場合(例:輸送中の事故)に、どちらがリスクを負うかを定めます。民法の規定では引渡しを基準として危険が移転しますが、契約書で別途定めることも可能です。

6. 契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)

引き渡した商品に欠陥(不具合・品質不足・数量不足など)があった場合に、売主がどのような責任を負うかを定めます。2020年の民法改正により「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」に改められています。

主な対応として、修理・交換・代金減額・損害賠償・契約解除などがあります。請求期限についても、「引渡しから〇年以内」と明記しておくと争いを防ぎやすくなります。

7. 反社会的勢力の排除(暴排条項)

売主・買主のいずれも、反社会的勢力(暴力団など)ではないことを表明・保証する条項です。現在では多くの契約書に盛り込まれており、違反した場合は即時解除できる旨も定めるのが一般的です。

8. 秘密保持

取引を通じて知り得た相手方の情報(価格・取引条件・顧客情報など)を第三者に漏らさないよう義務づける条項です。特に価格交渉の内容や取引先情報などを守るために有効です。

9. 準拠法・管轄裁判所

契約が準拠する法律(日本法など)と、万一紛争になった場合にどの裁判所で解決するかを定めます。相手方が遠方の場合や海外の事業者との取引では特に重要です。

10. 契約の解除

どのような場合に契約を解除できるかを定めます。代金不払いや商品の引渡し不履行など、解除事由を具体的に列挙しておくと、いざというときに対応しやすくなります。


■継続的売買契約書と個別契約書の使い分け

同じ取引先と継続的に売買を行う場合は、「継続的売買契約書(基本契約書)」と「個別注文書・発注書」を組み合わせるのが一般的です。

基本契約書には、双方の基本ルール(支払条件・責任の範囲・秘密保持など)を定め、個別契約(注文書・発注書など)には、その都度の商品・数量・価格などを定めます。

この方法にすると、毎回一から契約書を作る手間が省けるうえ、個別の取引内容を柔軟に設定できます。継続的な取引が見込まれる場合には、ぜひ検討してみてください。


■売買契約書を作るときの注意点

ひな型をそのまま使わない

インターネット上には売買契約書のひな型が多く公開されています。しかし、ひな型はあくまでも一般的な内容を記載したものです。実際の取引内容・金額・商品の特性などに合わせて、必要な条文を追加したり、不要な条文を削除したりすることが必要です。

特に、契約不適合責任の期間・損害賠償の範囲・支払い条件などは、ひな型のままにしておくと自社に不利な内容になっている場合があります。

双方が署名・押印(または電子署名)をする

売買契約書は必ず双方が署名・押印(または電子署名)をした上で、各自が1部ずつ保管します。どちらか一方だけが保管している状態では、内容を後から改ざんされるリスクがあります。

印紙税に注意する

書面で作成する売買契約書には、金額に応じた収入印紙が必要になる場合があります。電子契約であれば印紙税は不要ですが、書面で作成する場合は印紙の貼り忘れに注意しましょう。


■まとめ

売買契約書を作成するときの重要なポイントを整理します。

  • 売買の目的物・代金・引渡し条件を具体的に記載する
  • 所有権の移転時期と危険負担の取り決めを明確にする
  • 契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)の内容・期限を定める
  • 継続取引では基本契約書と個別契約書を組み合わせる
  • ひな型はそのまま使わず、取引内容に合わせてカスタマイズする

売買契約書は、取引の内容や金額によって盛り込むべき条項が大きく変わります。「自社の取引に合った契約書を作りたい」「今ある売買契約書の内容を確認してほしい」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。


契約書の作成・レビューはお気軽にご相談ください

「自分で作れるか不安」「クライアントから送られてきた契約書を確認してほしい」という方は、専門家へのご相談をご検討ください。

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なお、当事務所では以下の点をご説明した上で業務をお受けしています。

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