ブログ

署名と記名、押印と捺印の違い

契約書の作成に関する質問の中で、しばしば「署名と記名の違い」「捺印と押印の違い」について聞かれます。両者の違いについて、簡単に解説します。

1.記名と署名の違い

署名というのは、名義人(契約書に氏名を記載される人)が自分の氏名を手書きすることです。「本人」が「手書き」で「自分の氏名を記載」するのが署名です。
一方、記名と言うのは、名義人以外の方が何らかの方法で名義人の氏名を記載することです。記載する方法は、手書きでもハンコでもパソコンを使用しても構いません。署名以外は全て記名となります。

2.捺印と押印の違い

捺印と言うのは「署名して印鑑を押す行為」のことで、署名捺印を省略した言葉です。「捺印」を使用するのは、名義人が自筆で氏名を書いた(署名した)場合に限られます。
一方の押印は、「記名されている書面に印鑑を押す行為」を指します。記名押印を省略している場合と、単純に「印鑑を押す」行為を指している場合とがあります。

 

日本のビジネスにおいて、名義人となる会社等の代表者自らが手書きで氏名を書く(署名)するシチュエーションは多くないため、一般的に、契約書では「記名押印」と記載することが多いです。

リーガルチェックをしていると、契約書の後文では「記名捺印」や「署名押印」などの誤った使われ方をしている事が多いように思います。大して変わらないだろうと思われるかもしれませんが、契約は双方の信頼の元に成り立つものです。些細な点であっても、信頼感を損ねるリスクは極力排除したいものです。 

因みに、日本の法律の条文では書面には「署名」又は「記名押印」をすることを定めています。
「署名=記名押印」と言う立て付けですが、契約実務の現実としては、署名をした際には押印も求められる事が多いようです。

>>>ご相談はこちら

(「署名又は記名押印」と定める条文例 )
会社法26条
1 株式会社を設立するには、発起人が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。

会社法575条
1 合名会社、合資会社又は合同会社(以下「持分会社」と総称する。)を設立するには、その社員になろうとする者が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。

会社法369条
3 取締役会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成し、議事録が書面をもって作成されているときは、出席した取締役及び監査役は、これに署名し、又は記名押印しなければならない。

PAGE TOP