契約とは、当事者双方の意思表示が合致して成立する約束のことです。
意思表示というのは「考えを示すこと」。つまり、あなたが相手に対して「こうしたい(申し込み)」という申し込みの意思を伝えて、相手が「いいよ」と承諾する意思をあなたに伝えたことで契約が成立することになります(民法522条1項)。
契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。
私たちの日常は、沢山の契約で成り立っています。
例えば、
1.コンビニでの買い物:
お店で商品を購入する際には、商品の対価と引き換えに商品を購入する売買契約が成立しています。
2.アパートの賃貸契約:
アパートやマンションを借りる際には、借主(賃借人)と貸主(大家)の間で賃貸契約が結ばれます。賃料の支払いと引き換えに、物件の使用権が借り手に提供されます。
3.インターネットサービスの利用契約:
インターネットプロバイダーや携帯電話会社との契約も日常的な例です。特定のサービスを利用するために、一定の料金を支払う契約が成立します。
4.雇用契約:
会社や店舗で働く場合には、従業員と雇用主との間で、労働条件や給与に関する合意による雇用契約が成立します。
多くの契約は、当事者の合意のみによって成立します(諾成契約)。この際に物のやり取りは必要ありませんし、法律上、契約書を作成する必要がある保証契約などをを除いて契約書を作成する必要もありません。
しかし、口頭での約束だけでは「言った」「言わない」のトラブルにつながりかねません。特にお金の貸し借りや、商売に関するものなどは、当事者間のトラブル予防の観点からも、契約の内容は書面(契約書・覚書など)で残しておくことが重要といえます。
以前は、企業間の契約でも諾成契約が多かったのですが、最近では改めて契約書を作成する例が多くなっています。
「言った」「言わない」トラブルの防止はもちろんですが、M&Aで相手方から提出を求められたり、担当者の高齢化・世代交代・転職などで、取引先との契約内容が分からなくなってしまうことがないよう残しておこう、という意識もあるように思います。
ちなみに、諾成契約の反対は、要物契約(実際の物のやり取りが必要な契約)といいます。
これは現在の民法では「書面によらない消費貸借契約」だけが該当します(民法587条の2)。
消費貸借契約というと敷居が高そうな感じがしますが、「友人や家族間で、お金の貸し借りをする」という状況を想像するとわかりやすいですね。
2 書面でする消費貸借の借主は、貸主から金銭その他の物を受け取るまで、契約の解除をすることができる。この場合において、貸主は、その契約の解除によって損害を受けたときは、借主に対し、その賠償を請求することができる。