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「フリーランス新法」が令和6年11月1日に施行されます

令和5年5月12日に公布された「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(フリーランス・事業者間取引適正化等法:フリーランス新法)(令和5年法律第25号)が令和6年11月1日より施行されます

フリーランス新法は『働き方の多様化の進展に鑑み、個人が事業者として受託した業務に安定的に従事することができる環境を整備することを目的とし、特定受託事業者に係る取引の適正化及び就業環境の整備を図るため、一定の義務を課す』ものです。

同法が施行されることにより、特定受託事業者(いわゆるフリーランス)に発注する業者(特定業務委託事業者)には、取引上、以下のような遵守すべきルールが課せられます。

 

取引条件の明示義務(3条1項)

業務委託事業者は、特定受託事業者に対し業務委託をした場合は、直ちに、特定受託事業者の給付の内容、報酬の額、支払期日その他の事項を、書面又は電磁的方法により明示しなければなりません

期日における報酬支払義務(4条1項・5項)

特定業務委託事業者は、検査をするかどうかを問わず、発注した物品等を受領した日から起算して60日以内のできる限り短い期間内で、報酬の支払期日を定めてそれまでに支払わなければなりません

※支払期日を定めなかった場合などには、次のように支払期日が法定されます。(4条2項)
① 当事者間で支払期日を定めなかったとき ⇒ 物品等を実際に受領した日
② 物品等を受領した日から起算して60日を超えて定めたとき ⇒ 受領した日から起算して60日を経過した日の前日

特定業務委託事業者の遵守事項(5条1項)

特定受託事業者との業務委託(政令で定める期間以上のもの)に関し、以下①~⑤の行為(1項1~5号)をしてはいけません。
① 特定受託事業者の責めに帰すべき事由なく受領を拒むこと(1項1号)
② 特定受託事業者の責めに帰すべき事由なく報酬を減額すること(1項2号)
③ 特定受託事業者の責めに帰すべき事由なく返品を行うこと(1項3号)
④ 通常支払われる対価に比べて著しく低い報酬の額を不当に定めること(1項4号)
⑤ 正当な理由なく自己の指定する物の購入・務の利用を強制すること(1項5号)

特定業務委託事業者の遵守事項(5条2項)

特定受託事業者との業務委託(政令で定める期間以上のもの)に関し、以下①~②の行為(2項1~2号)によって特定受託事業者の利益を不当に害してはいけません。
① 自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させること(2項1号)
② 特定受託事業者の責めに帰すべき事由なく内容を変更させ、又はやり直させること(2項2号)

募集情報の的確表示義務(12条)

特定業務委託事業者は、広告等により、特定受託事業者の募集情報提供するときは、当該情報について、虚偽の表示又は誤解を生じさせる表示をしてはならず(1項)、正確かつ最新の内容に保たなければなりません(2項)。

育児介護等と業務の両立に対する配慮義務(13条1項)

特定業務委託事業者は、継続的業務委託について、特定受託事業者からの申出に応じて、特定受託事業者が育児介護等と業務を両立できるよう、必要な配慮をしなければなりません

ハラスメント対策に係る体制整備義務(14条)

特定業務委託事業者は、ハラスメント行為により特定受託事業者の就業環境を害することのないよう相談対応のための体制整備その他の必要な措置を講じなければなりません。(1項)

また、特定業務委託事業者は、特定受託事業者がハラスメントに関する相談を行ったこと等を理由として不利益な取扱いをしてはなりません。(2項)

中途解除等の事前予告義務(16条)

特定業務委託事業者は、継続的業務委託を中途解除したり、更新しないこととしようとする場合には、特定受託事業者に対し、少なくとも30日前までに、その旨を予告をしなければなりません。(1項)

また、予告の日から契約満了までの間に、特定受託事業者が契約の中途解除や不更新の理由の開示を請求した場合には、特定業務委託事業者は、これを開示しなければなりません。(2項)


現在、多くの会社でフリーランスへの業務委託が行われていることかと思います。
施行前に、遵守すべき事項に目を通すと共に、関係者に周知することで、法令違反などが行われないように気を付けましょう。

>>>ご相談はこちら

(目的)
特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律 1条
 この法律は、我が国における働き方の多様化の進展に鑑み、個人が事業者として受託した業務に安定的に従事することができる環境を整備するため、特定受託事業者に業務委託をする事業者について、特定受託事業者の給付の内容その他の事項の明示を義務付ける等の措置を講ずることにより、特定受託事業者に係る取引の適正化及び特定受託業務従事者の就業環境の整備を図り、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

<参考記事>
フリーランスの取引適正化に向けた公正取引委員会の取組

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