前回紹介した「及び」「並びに」と同様に、「又は」と「若しくは」も、契約書をはじめとするビジネス文書において、頻繁に使用されます。
「又は」と「若しくは」も、基本的に日常生活で使い方を意識することが無いため、適当に使われることが多い法律用語です。
1.又は/若しくは
「又は」と「若しくは」は、どちらも並列する語句のうちの何れかひとつを選択させるものです。
基本的に、2つの語句をつなげる場合には、「又は」を使用します。
例:A又はB
3つ以上の語句をつなげる場合には、句読点で句切り、最後の2つを「又は」で結びます。
例:A、B、C又はD
並列する語句に、意味の上での区別がある場合は、小さな区分に「若しくは」を使用し、大きな区分に「又は」を使用します。
例えば、フォーク、ナイフ、机、椅子は、どれも家の中にあるものですが、前者は食器、後者は家具という分類ができます。これらを「又は」と「若しくは」を使って表現すると次のようになります。
例:フォーク若しくはナイフ 又は 机若しくは椅子
契約書風に表現するなら、こんな感じでしょうか。
例:甲は乙に対し、フォーク若しくはナイフ又は机若しくは椅子を買い与えるものとする。
「又は」で大きな区分がされていることから、甲が乙に買い与えるものは、①食器か②家具であるということがわかります。
つぎに「若しくは」の文脈で、①食器の場合はフォークかナイフ、②家具の場合は机か椅子、という選択肢があるということが分かります。
「使用方法が正しくなくても、意図が伝わればいいのでは?」という考えの方もいますが、契約書をはじめとするビジネス文書では、文章が稚拙であったり、誤った用法が多い場合には、相手から舐められることがあります。
難しい法律用語を多用する必要はありませんが、最低限、相手から下に見られない程度の文書は作成したいものです。
民法13条(抜粋)
6 相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。